この研究は、ハンセン政策が始まった近代から現代に至る日本のハンセン事業の中で、ハンセン病患者が自分の生存の権利を獲得するため闘争した歴史を探る。そして日本のハンセン事業の歴史の一部でありながら‘患者’と‘外国人’といった理由で疎外されてきた在日朝鮮ハンセン人の日本療養所での生活について考察する。在日朝鮮ハンセン人は日帝強占期に日本へ渡り、ハンセン病が発病して日本の療養所に収容され、敗戦後も日本療養所で生を営んでいた存在である。特に本研究では、在日朝鮮ハンセン人の療養所の患者集団との交流及び連帯、二重的な少数者として生存権獲得のためにした努力、南北分断による民族間の対立局面に焦点を合わせて考察している。