本稿の問題提起は「なぜ安倍首相は長期政権が可能だったのか」であり、その要因を明らかにすることが研究目的である。分析は相互作用アプローチの状況的要因のうち、有権者の支持に焦点を当てて行った。
分析を通じて、自公政権に対する「消極的支持」が自民党の「熱狂なき圧勝」という結果をもたらし、それが超長期安倍政権の誕生につながったことを明らかにした。また、第2次安倍政権の長期執権要因は、主力野党が存在せず、野党が多数の政党に分散していたためという「野党の分散度」で説明できることを明らかにした。
自民党の失政と内閣の頻繁なスキャンダルにより、自民党内閣が有権者の批判に直面しても、自民党は総裁の交代を通じた「55年体制」当時と同様の疑似政権交代を試みるだろう。野党が分裂している現在の状況下では、野党への真の政権交代は不可能と思われる。そして、これは日本の有権者が選んだ7年8ヶ月という超長期の安倍政権が残した「負の遺産」ではないかと考えられる。