本稿は2020年現在使われている韓国と日本の中学校3年分国語教科書挿絵に注目し、改定前後の教科書挿絵の通時的変化を明らかにすることに目的がある。 挿絵の量を見れば韓国は小説で増え、説明․主張文で減ったが、日本はその反対である。韓国はジャンルを問わず絵の比重が高いが、日本は説明․主張文で絵をほとんど使わず写真および図表の比重が高い。 挿絵の素材を見れば、小説と説明․主張文で人物挿絵の比重は韓国がそれぞれ82.0%、35.8%だが、日本はそれぞれ71.4%、4.5%に過ぎない。特に、説明․主張文で韓国はテーマと人間との関連を扱っているが、日本はデータ中心である。 改定前後のテキストの交替比重は小説の場合、韓国42.6%、日本12.4%であり、説明․主張文の場合は各々94.7%、34.5%で韓国が顕著に高いことが分かった。ところが、同一テキストの場合、韓国は改定時に挿絵を100%交替しているが、その意図が明確でない。依然として、登場人物の心情を具体的に表わし、背景描写は文よりも詳しい情報を提供する。これは文の内容と「対応」する挿絵のテキスト的機能を依然として固守していると見られる。一方、日本は同一テキストの場合、挿絵がそのまま使われている。依然として人物の感情が現れず、背景も節制されており、文の内容と「相互補完」される機能を維持している。 挿絵と関連して両国の教科書の改定方向を確認しようとしたが、望ましい変化が現れたとは言えない。よって今後の追跡調査が必要である。