本研究は2015年の安保反対運動がなぜリベラル勢力の活性化に繋らなかったのかについてその原因を分析することを目的としている。2015年安保法制改正を契機にして形成された市民と野党連合の選挙共闘を中心に分析し、日本でリベラルの勢力化がなぜ難しいのかについて論じている。‘市民連合’と立憲野党4党は選挙共闘を合意してから2016年参院選から2021年衆院選まで、参議院の1人区、衆議院小選挙区で候補の一本化を通して国会議席の3分の2を阻止するために議席を獲得する運動を展開してきた。しかし、2019年参院選で改憲勢力の3分の2を確保することを阻止することはできたが、それ以外の選挙では阻止することは失敗した。 2016年から2021年に至るまで市民連合と立憲野党の間の選挙協力はまともに定着したとはいえない。市民団体の野党間の役割分担においても日本共産党の一方的譲歩に頼ることが多かった。野党共闘が失敗した原因として、共産党との選挙共闘を取り巻く民主党の分裂、労働組合連合と共産党の関係性、そして‘改憲阻止’という目標設定が持つ共闘の限界、日本社会内に蔓延している共産党アレルギー、リベラル批判などが挙げられる。