この研究は、日本の公営放送のNHKの「朝TV連続小説」というプログラムを通して 1980年代に放映された「おしん」と2010年代に放映された「おひさま」「カーネーショ ン」「ごちそうさん」「マッサン」など五つのドラマを対象として、ドラマの叙事内容 が現代日本社会の保守右傾化に及ぼした影響関係を窮めようとしたものである。研究結果 によると、上記の五つのドラマは太平洋戦争と関連して、第一に空襲と焼け跡、暗市場の 映像の再現を通じて視聴者たちに同時期の苦難の暮らしを想起させながら被害者的な戦争 認識を国民共通の集合的記憶として大衆化させることに寄与したと思われる。また、上記 のドラマに共通的に現れる家族の出征と戦死は戦争に対する被害者的な認識と悲嘆のマン タリテを心情的に共有させるもう一つの動因となり、その上、息子の死とかかわって母性 が見せてくれる戦争に批判的な態度と侵略的な戦争の本質を最後まで否定できない両価性 は右傾化を黙認する重要な要因になったと思われる。一方、上記のドラマが叙事形式で現 している祖孫間の記憶の伝承は戦争参加世代の息子の世代を飛ばすことによって、戦争の 実態を視聴者たちの記憶から消去させながら被害者的な戦争観を一般化させて戦争を知ら ない若い世代の右傾化にも少なくない影響を与えたと思われる。朝ドラはその長い放映時 間と日本社会の危機的な内外の状況と重なり逢って、上記のような被害者的な戦争観を持 続的に視聴者たちの意識のなかにイデオロギさせることによって日本社会の右傾化に一定 の役割を果たしたと思うこともできる。