まえがきI 災禍が拡大した格差と孤立1章 コロナ・パンデミックと雇用格差(有田 伸) 1 はじめに 2 雇用への影響とその格差 3 日本型雇用システムの下での雇用問題への対応策 4 人々の職業的スキルをどのように捉えるか 5 職業的スキルの認定・評価のための社会的取り組み 6 おわりに2章 コロナ・パンデミックとジェンダー格差(筒井淳也) 1 「ショック」とその影響 2 新型コロナ・パンデミックの影響の特徴とジェンダー 3 雇用とジェンダー 4 家庭生活とジェンダー 5 「つながり」とジェンダー 6 コロナ・パンデミックにおけるジェンダー問題から見えてくること3章 コロナ・パンデミックと教育政策(中村高康) 1 それは突然起こった――二〇二〇年の一斉休校 2 「九月入学論」を振り返る 3 「薄甘い教育理念」と政治、そして専門知 4 教育論議と後期近代の再帰性 5 ソフト・アカデミズムとエビデンス 6 おわりに4章 コロナ・パンデミックと住宅問題(村上あかね) 1 新型コロナ・パンデミックが明らかにした公的家賃支援のニーズ 2 持ち家社会の光と影 3 住居費負担率の高さが生む生活満足度の低さ 4 誰もが安心して生活できる社会を目指して――人口減少社会における住宅問題の処方箋5章 コロナ・パンデミックと日本の自殺(江頭大蔵) 1 中高年男性の問題から女性と若者の問題へ 2 二〇二〇年における自殺傾向の変化 3 なぜ女性の自殺が増加したのか? 4 自殺の社会統合理論 5 賃金、労働時間と自殺率II 民主主義社会のゆらぎと危機6章 コロナ禍は民主主義国への評価を低下させたか(園田茂人) 1 デジタル権威主義の優位性? 2 コロナ対応をめぐる日本人の評価 3 日本人は各国のコロナ対応をどう評価したか 4 中国のコロナ対応への評価を規定する要因 5 デジタル民主主義というオプション7章 新しい介入主義に市民社会はどう対峙するか(町村敬志) 1 何かが始まった、だが何が?――クロニクルで考える新型コロナウイルス感染症 2 社会問題としての新型コロナウイルス感染症 3 政府による「介入」としての新型コロナ対策 4 「緊急事態」の構築――広がっていく介入のかたち 5 「介入」を通じて呼び戻される新自由主義 6 「危機」下の市民社会を考えるために――ジレンマを越えて8章 危機に瀕する民主主義――ヴァイマル共和国の歴史から考える(友枝敏雄) 1 はじめに 2 二〇世紀の謎――ヴァイマル共和国におけるヒトラー政権の誕生 3 民主主義の理想の姿を求めて9章 民主主義の二つのかたちと日本の選択――小論文教育から考える価値観と市民像(渡邉雅子) 1 リベラル民主主義と共和主義――アメリカとフランスの価値判断 2 エッセイの思考法と価値観――個人の目的達成のため他者を動かす 3 ディセルタシオンの思考法と価値観――熟慮し極端に振れない判断 4 論文構造が変わると何が変わるのか――問題解決の方法とその答え 5 日本の立ち位置を考える――感想文と小論文 6 結びにかえて――感想文と小論文が開く第三の道10章 社会のゆらぎと社会理論のゆくえ(山田真茂留) 1 文化の混沌、社会の低迷 2 社会理論の刷新のために 3 文化デフレの果てに11章 文化戦争と文系学問の危機(盛山和夫) 1 はじめに 2 文化戦争と文系学問 3 文化における政治闘争 4 文系学問に内在する危機 5 民主主義の基盤となるべき文系学問とその蹉跌 6 民主主義の再興のために III 未来をどのように創るか12章 〈生〉を包摂する社会へ――ケアとジェンダーの視点から(落合恵美子) 1 新型コロナが可視化したケアとジェンダー 2 ケアを外部化した社会と社会科学 3 生とケアを包摂する社会へ――フェミニスト社会科学の挑戦 4 おわりに13章 モビリティーズと〈共〉の社会理論(吉原直樹) 1 はじめに――モビリティーズへのまなざし 2 モビリティーズ・スタディーズの視圏と底流 4 「もうひとつの社会科学」としてのモビリティーズ・スタディーズ 5 社会学知の「再発見」 6 ポストコロナ時代におけるモビリティーズ 7 〈共〉の社会理論の形成に向けて 8 むすびにかえて14章 持続可能な民主主義へ向けて(今田高俊) 1 たそがれ時の民主主義?――国政選挙における投票率の低下 2 押し寄せる権威主義の波 3 デジタル民主主義へ(I)――二次の投票(Quadratic Voting) 4 デジタル民主主義へ(II)――Pol.isあるいは合意形成のためプラットフォーム15章 ウィズコロナ、ウィズAI時代の民主主義と社会学5.0の誕生(佐藤嘉倫) 1 コロナ禍とソーシャル・キャピタルの毀損 2 AIの社会進出と社会的分断 3 民主主義の危機とその解決のための方策 4 社会的分断緩和のための社会学に向けて16章 災禍の時代を超えて――孤立から語り合う世界へ(遠藤 薫) 1 コロナ・パンデミックを歴史的に捉える 2 ソーシャル・ディスタンス(社会的懸隔)と心理的孤立 3 日常のオンライン化と不信のコミュニケーション 4 孤独感を抱く人びと、語ることのできない社会 5 孤立を脱け、語り合うところから始めよう 6 私たちは何者か、私たちはどこへ行くのか――アイデンティティ・ポリティクスとポスト・ヒューマンの時代あとがき