まえがき(加藤陽子)1 一九三〇年代の歴史学の「刷新」と黎明期の『歴史学研究』(加藤陽子) 一 本書の目的 二 「戦前歴史学」の地平から逆照射される「戦後歴史学」 三 歴史学研究会設立の意義と時代状況 四 『歴史学研究』の新しさ 五 忘れられた戦前歴史学の担い手 六 責任という観点から「編輯後記」を読む[コラム1]確かな「一隅」を築く試み(戸邉秀明)2 宮崎市定の誕生――一九三〇年代の軌跡(井上文則) 一 西洋史家を惹きつけた宮崎 二 京大助教授、出征と留学――一九三〇年代の宮崎 三 宋代史から世界史へ――一九三〇年代の研究 四 「宮崎市定」を産み出したもの 五 常識に基づく歴史学3 一九三〇年代の歴史系学会と史学史ブーム(佐藤雄基) はじめに――学会の史学史を考えるために 一 学会・学術雑誌の史学史 二 創立期の歴史学研究会と「学界」 三 史学史の諸構想 むすびにかえて――戦前史学史の可能性[コラム2]昭史会の野郎ども(木下竜馬)4 社会経済史学会の創立と一九三〇年前後の社会経済史研究(馬場 哲) 一 はじめに――社会経済史学の宿命 二 欧米における社会経済史学の成立 三 日本における社会経済史学会の創立 四 一九三〇年前後の社会経済史研究――経済学と歴史学のはざまで 五 おわりに――戦後、そして現在5 戦前東洋史学の展開と歴史学研究会の創立者群像(小嶋茂稔) 一 歴史学研究会の創立と東洋史学 二 創立前後の歴研と東大東洋史学科 三 歴研創立期の東洋史学 四 志田不動麿の苦闘 五 その後の志田とその中国認識[コラム3]一九三〇年代の『歴史学研究』にみる地方郷土史家へのまなざし(古畑侑亮)6 歴史学研究会と二つの皇国史観――平泉澄・吉田三郎を中心に(昆野伸幸) 一 歴史学研究会と平泉澄・吉田三郎 二 平泉史学と歴研 三 歴研と吉田三郎 四 皇国史観の誕生と定着[コラム4]「戦前歴史学」における軍事史・戦争史研究の一側面――原種行の研究を例に(三澤拓弥)7 両大戦間期フランス歴史学界における危機と刷新――L・フェーヴルの視点から(舘 葉月) 一 一九三八年の歴史学界――リュシアン・フェーヴルによる総括 二 第一次世界大戦と新世代の歴史家たち 三 歴史への攻撃――ポール・ヴァレリー v.s.歴史家たち 四 一九三〇年代の『アナール』の実践[コラム5]黎明期の西洋史部会――その課題と取り組み(十川雅浩)8 「左派外交史学」の曙光――一九三〇年代日本のマルクス主義史家たち(前田亮介) はじめに 一 両大戦間期における外交史批判の噴出 二 「新しい外交史学」をめぐる羽仁・服部の相克 むすびにかえてあとがき(下村周太郎)