序章 日本的雇用システムの歴史的パースペクティブ1.日本的雇用システムはどのように説明されてきたのか2.オーラルヒストリーによって何を分析するのか3.本書の構成第Ⅰ部 職場の新秩序への模索第1章 起点としての身分差撤廃交渉1.企業内に生まれた民主化運動2.労使会議の中の歴史証言3.身分差撤廃交渉が進んだ要因4.身分差撤廃をめぐる企業内労使交渉5.身分差撤廃の達成と残された課題第2章 賃金の支払い方をめぐる論争1.賃金格差を生み出す「査定」2.終戦直後の賃金制度3.賃金制度をめぐる企業内労使交渉4.新秩序としての「能力」の採用と限界補論 労使交渉のあと第3章 「家族賃金」観念の形成1.賃金のなかの「家族」2.人権争議前後の雇用管理3.「家族賃金」の組合提案と消滅4.恋愛結婚への憧れと金銭的現実5.労働組合運動の中の性別役割分業意識第Ⅱ部 日本的雇用慣行の生成と変容第4章 労使関係の中の「相互信頼」の獲得1.「相互信頼」はどのように形成されたか2.生産性運動をめぐる対立3.労使関係における生産性運動の多様性4.中立・コミュニケーション・啓蒙第5章 高度成長期における人事制度改革の説得1.人事制度改革はいかに説得されたのか2.調査計画と調査対象の説明3.NKKにおける「労務管理の科学化」の流れ4.人事制度の日本的変容5.政治から科学への転換第6章 企業内労働市場の拡大と完成1.「遠い職場」への配置転換2.内部労働市場の形成をいかに探るか3.使用資料の紹介4.東海転出の経緯と実態5.釜石の労働者6.転出を促す人事施策と労使関係7.内部労働市場の中のインセンティブと公平性第7章 産業別賃金交渉における内部労働市場の論理1.「賃金構造」接近のメカニズムを探る2.「個別賃金実態調査」の分析3.賃金交渉の分析枠組み4.労使交渉過程の分析5.内部労働市場間の調整第8章 日本的能力観の構築1.企業内で「能力」は如何に語られてきたのか2.「能力」をめぐる議論3.「能力の基準」をつくる4.能力観への批判とその改良5.「能力」の揺らぎと新しい合意への模索第9章 新しい人事方針への変革1.「新時代の日本的経営」の何が新しかったのか?2.人事方針の位置3.使用資料の紹介4.人事方針と人事施策の歴史分析5.継続する議論,残された課題第Ⅲ部 地域・産業・政策の労使関係第10章 企業を超えた地域労使交渉1.「集合財」としての労働協約2.集合行為の分析視点3.東京金属産業における統一労働協約4.統一労働協約締結に至る労使交渉5.個別企業の統一労働協約への参加6.労働組合間の協力を生み出す設計第11章 産業レベルの労働組合運動の役割1.産業別労働組合を取り上げる意味2.戦後繊維産業と繊維労働者3.全繊同盟の組織化過程4.組織拡大の促進5.組織縮小の抑制6.経済構造変化のもとでの労働組合運動第12章 労働法政策決定における議論の場所1.政策決定の調整メカニズム2.労働時間規制の概略と政策研究の視角3.労働省OBオーラルヒストリーの概要4.改正労働基準法の成立過程の解読5.研究会・審議会主導の政策決定とその喪失終章 雇用論議を始める起点1.語られたこと,わかったこと2.日本的雇用システムをつくった人びと3.1995年以降の「長い現在」4.正解を探すのではなく,新しい制度やルールをつくる人たちを探す資料紹介 日本における労働史オーラルヒストリー1.オーラルヒストリーの議論と蓄積2.オーラルヒストリーの分類軸3.労働史オーラルヒストリーに向けた探索4.我々が参加したオーラルヒストリー・プロジェクト5.オーラルヒストリーの課題と未来