本研究は機械翻訳と最近話題を集めている生成AIチャットGPTが、韓日対照言語学の分野における言語学的成果や知識を反映した翻訳を提示できるかについて分析したものである。 具体的には、韓国と日本の化粧品のウェブサイトのテキストを分析対象に、Google翻訳と Papago翻訳、そしてチャットGPTが生成する翻訳の三者を比較した。その結果は以下の通りである。
(I) 韓日翻訳の結果 韓国語の原文に現れた動詞が、日本語において好まれる動詞「導く」、または「名詞+格助詞」で終結する表現に翻訳された例は、Google、Papago、チャットGPTともほとんど観察されなかった。一方、韓国語で多用された「-아/어 주다」動詞を、Google翻訳では日本語の「てくれる」に対応させて直訳する例が多く見られた。しかし、PapagoとチャットGPTは日本語の特徴を生かして、補助動詞「てくれる」を伴わない単純動詞の形で翻訳していた。
(Ⅱ) 日韓翻訳の結果 日本語の原文において生起した動詞が、韓国語で頻出する「-아/어 주다」に翻訳された例はPapagoにおいて多く見られた。一方、「名詞+格助詞」止まりになっている例を、日本語の原文においては出現していない述語を補って、韓国語で選好される完全な文の形で訳出しているのは、チャットGPTにおいてのみ観察された。