本稿は1946年(2月、5月)雑誌『世界』に寄稿した高橋正雄の8·15以前の戦時経済体制に対する分析と認識、宇野弘蔵の日本資本主義の変形、金融資本に対する分析および労働者中心の経済民主化への模索を中心に考察した。本稿では資本主義の民主職組織化を「経済民主化」と命名した。高橋は、日本の戦時経済体制をブハリンが規定した国家資本主義トラストであると主張した。これは金融資本と国家権力が結合したことを指す。このような観点から、戦前の日本経済について分析した。一方、宇野弘蔵は国家資本主義トラスト、統制経済の弊害としてナチス·ドイツを例に挙げ、資本主義は労働者によって民主主義的に組織化すべきであると強調した。すなわち、経済民主化である。宇野はヒルファーディングの「金融資本」概念を引用して資本の無政府性を制御するために第3者として国家が管理し均衡は労働者組織に任せるべきであると主張した。宇野は資本主義課題の解決をマルクスの資本家対労働者生産関係に見出した。しかし、彼の分析どおり日本に資本家は存在したが、日本労働者形成過程が西欧労働者形成過程と違った。 言い換えれば、経済民主化を民主主義の経験なしに西欧民主主義の方式から模索せざるを得ない限界を露呈した。